■以上の考察から、広重の絵「図A1」は、帷子橋の江戸寄りの岸辺、
つまり、現在の天王町駅付近から西久保町の山並に向かって、
右手は現在の保土ヶ谷駅方面から、
左手は現在の西横浜方面まで描いています。
そこで、天王町駅から、保土ヶ谷駅と西横浜を見渡す角度を計測しますと、画角はおよそ110°となります。 カメラの場合、標準レンズの画角は45°~48°程度と言われていますので、広重は、超広角レンズの視野で描いたことになります。
つまり、広重の描いた「東海道五十三次 保土ヶ谷」が、なかなか現在の風景に合致しない理由は、
・帷子川や今井川の川筋が変更された。
・街道の道筋や道幅が変更された。
・高い建物が建って見透しが悪くなった。
ことは言うまでもなく、
・街道と橋の向きが、およそ40°傾いていた。
・広重は、およそ110°の超広角レンズ的遠近法で背景を描いた。
ことが、最大の要因ではないでしょうか。
■一度、相鉄線天王町駅下り線ホームの横浜寄りに立って、北東から南西の方角をぐるりと見渡せば、広重の超広角体験ができるかもしれません。