■古来、私達日本人は、家族や親族に「弔事」が生じた場合に、その心の痛みを拭い去るまで、あるいは、残された者が不幸を乗り越えて正常な家庭生活を営むための節目にと、ある一定の期間をもうけて慎むことが慣習でした。これを「服忌」
(ぶっき)や「忌服」
(きぶく)又は「喪がかかる」「日が悪い」「日がかり」などと表現して、主に家庭や地域における「神祭り」や「ハレの行事」への参画をしばらくの間、遠慮することを慣わしとしてきたのです。清浄を尊び、穢れ
(気枯れ)を忌む日本人の倫理観がここに見られます。
ただ、この慣習は時代背景や立場の違い、地域性などによって様々であり不統一なため、一年間神祭りを行わないなどの種々の疑問や誤解が生まれてきました。
■そこで、今回下記の様に 「服忌の心得」 を定めて基準をお示しする事になったのです。身内の死を悼むのは、あくまで人それぞれの心の問題ですが、現代社会にあって、順調な社会生活を営むための 「心のけじめ」 として御参考になれば幸いです。
尚、もともと「服」とは喪服を着用すること即ち喪に服すること、「忌」は人の死を忌むことを表しますが現在ではこれを分けて考える事が無くなりましたので実状に即して基準を示しております。
(本ページは、神奈川県神社庁発行のパンフレット「服忌のこころえ」から転載しました)