昭和40年代まで神社の山裾が原っぱだった頃、ムギワラトンボ・シオカラトンボ・オニヤンマ・ギンヤンマ・赤トンボなど、初夏から秋にかけてはトンボの楽園状態でした。神社の山には湧水があり、ヤゴが生育する環境が整っていたのです。その後、幾度かの台風や大雨の影響により湧水源が埋まったために少しずつ減り始め、昭和50年代に山裾を参詣者の駐車場に整備してからは、トンボを見かける機会はめっきり減ってしまいました。 それでも、シオカラトンボ・ムギワラトンボ・オニヤンマ・赤トンボは、現在でも時々現れます。ところが、手で捕まえられえるほどに元気がありません。最近のトンボは警戒心が薄いのでしょうか。
神社の境内には、トンボ・セミ・チョウ・秋の虫など数多くの昆虫たちが生息しています。
夏になれば、セミの抜け殻が樹木の幹や社殿の柱に数え切れないほどへばり付いています。
ところが、長年神社の境内に住みながら、トンボの羽化を見ることは一度もありませんでした。
その機会が突然やってきました。5月30日朝、メダカを入れた水蓮鉢に羽化途中のムギワラトンボが居たのです。鉢に中に植えたトクサに絡み付き、近寄っても微動だにしません。飛び立つ頃合いを見計らっているかのようです。